最近、日本の文化にフューチャーしたブランドやショップをよく目にする。世界的に有名な日本のアパレルブランド「visvim(ビズビム)」は、日本の伝統的な作業着を基にデザインした「野良着」が人気だし、2016年に新宿にオープンした「BEAMS JAPAN(ビームス ジャパン)」にはファッションブランドだけでなく、お皿やコップのような焼物から日本酒、扇子までもが揃う。「野良着」に至っては、あのカニエ・ウェストがTシャツの上からシャツの如く羽織っていて、もはやジャパニーズトラディショナルはファッションアイテムの一部と化している。「Hender Scheme(エンダースキーマ)」もその一つだ。
2010年に誕生したブランドは、工業製品であるスニーカーを、あえて東京・浅草の町工場で作るところからスタート。人気スニーカーを、経年変化が楽しめるヌメ革で造る「オマージュライン」は最も有名で、前途のカニエ・ウェストからメーカーに直接オーダーが来るほどだ。今回紹介するのは、そんなブランドの個性が反映された、クラフト感満載の「ショルダーバッグ」だ。
職人気質なブランドが提案するショルダーバッグは、素材が持つ機能を活かしたクラフト感のあるデザインが魅力だ。ボディのシャリっとした生地感は、ノースフェイスやシエラデザインなどのアウトドアブランドが使用している「ロクヨンクロス」が採用され、着古したマウンテンパーカーのようなユルい雰囲気がありながらも、水を弾く機能性を持ち合わせている。
開け口部分はゴム引きの止水ジップが施され、ベルトは好みの長さに調整可能だ。
ボディとベルトを繋ぐのは、正方形に裁断されたレザーパッチを使用した留め具。十字に組まれたステッチからは、異素材同士を強固に留めていることが伺える。
ひとつのバッグを、ボディ、ベルト、ジップ、留め具という必要最低限のパーツのみで構成し、それぞれのパーツがその機能に適した素材を使った、全てが理に適った一切無駄のないデザインだ。クラフトマンシップを感じる温かみのあるデザインながら、最小数のパーツで最大の機能を引き出す合理性を兼ねているところに、このブランドの奥深さを感じる。「デザイン」と「機能」の両立はジャパンメイドならでは。これこそが、世界で支持される一番の理由であるに違いない。