EUKARYOTEにて2023年3月3日(金)から3月26日(日)までの期間、写真家・石川和人と、ファッションブランドYUKI HASHIMOTOのデザイナー・橋本祐樹による「SYSTEM」が開催される。

石川和人と橋本祐樹は、2019年秋冬シーズンより協働をスタート。石川の制作技法のコンセプトでもある「情報の集積の過程」をキーワードに展開したアイテムをYUKI HASHIMOTOにおいて発表、同年開催された石川の個展では、YUKI HASHIMOTOのコレクションで用いられた布地を被写体とした作品シリーズ「ENCODING」を発表するなど、それぞれの領域にて引用する形で制作を重ねてきた。

デジタル・SNS時代の写真技法の在り方や、写真表現の唯一性について思索する石川和人と、ファッションの文脈と、アートや音楽に現れる時代性に反応したコンセプトから世界観を膨らませ、服として形作る橋本祐樹、新進気鋭の両者が対話を続けてきた中で、浮かび上がってきた葛藤の一致が、本展のきっかけとなっている。

「写真は、紙に載っているものが写真なのか、カメラの中に捉えた瞬間が写真なのか(中略)見えていれば写真なのか、そこにあるから価値があるのかどうか」という橋本祐樹の言葉が端的に示すように、時代を映し、時にカウンターとして社会の表層に形を得て浮かび上がる、流動的な媒体としてのファッション、同じように流動性や複数性を持ち、物質として消耗していくジレンマを抱える写真という二つの領域における価値の普遍性とは。その瞬間を切り取り保存できないかという仮説だ。

本展では写真、ファッション、それぞれの境界と技法の制約を跨ぎ、例えば、ポラロイドのインスタント性を用いて出力されたキャンバス、さらにファッションを引用した行為として染色や裁断を施すなど、二人の間でやり取りを重ねる形で制作された、実験の痕跡ともいえる作品群が発表される。
写真とファッションの枠組み、ひいては環境や時間など、物質的な側面からアートとしての「価値」が生まれる仕組みについて問いかける本展を、ぜひご高覧いただきたい。

SYSTEM

参加作家: 石川和人、橋本祐樹
会期: 2023年3月3日(金)-3月26日(日)
会場: EUKARYOTE 1F-3F(東京都渋谷区神宮前3-41-3)
[東京メトロ銀座線 外苑前駅 出口徒歩10分]
営業時間: 12:00-19:00
定休: 月曜日

展覧会情報ページ
https://eukaryote.jp/exhibition/2023-3_system/

YUKI HASHIMOTO 2019-20秋冬 展示会風景
YUKI HASHIMOTO 2019-20秋冬 展示会風景
YUKI HASHIMOTO 2019-20秋冬 展示会風景
石川和人個展「Overload」展示風景
石川和人個展「Overload」展示風景
2021, 「IMPROVISATION MAR. 2021」展示作品, 石川和人

石川和人|Kazuto Ishikawa

1983年埼玉県生まれ。2008年東京ビジュアルアーツ写真学科を卒業。
主な活動として2008年「Color Imaging Contest」入選をはじめ、2015年「LUMIX MEETS BEYOND 2020 BY JAPANESE PHOTOGRAPHERS #3」への選出と同年パリでのグループ展への参加、2021年「IMPROVISATION MAR. 2021」(EUKARYOTE)など。
代表的ともいえるシリーズ「Humanity」では、大量のインクで出力しイメージを重ね合わせることによって色が混ざりあい、輪郭が朧げになった被写体を浮かび上がらせ、情報が溢れる社会での私たちのアイデンティティについて問いかけるなど、デジタル化した現代における写真表現への追求を続けている。

橋本祐樹|Yuki Hashimoto

1987年滋賀県生まれ。京都造形芸術大学卒業後、2010年にアントワープ王立アカデミーへ留学。「KRIS VAN ASSCHE」「Raf Simons」「Maison Margiela」など、現地の名だたるメゾンにてデザイナー・アシスタントを務めながら修士課程を修了。2017年の帰国後自身の名を冠したブランド「YUKI HASHIMOTO」を立ち上げ、2019年春夏コレクションにてデビュー。TOKYO FASHION AWARD 2020を受賞。
「NEW ORDER」(ニューオーダー)をコンセプトに、洋服が持つ歴史や背景を残しながら、現代的なデザインへと進化するイメージでコレクションを制作し、新しい世界観を提案し続けている。