東京から1万キロ離れた地──マドリッドで増幅した、ふたりのデザイナーの認識と心象にひろがる“東京”のイメージが、SS24のデザインと呼応するストーリーである。マドリッドから東京に拠点を移したSHOOP(シュープ)にとって、もっとも直截的にアイデンティティに向き合ったコレクションとも言い換えることができ、国立競技場のスロープを用いたロングランウェイに、SHOOPの現在形のビジョンを体現するモデルたちの存在は欠かせなかった。
デザインは常に、デザイナーの眼を介した風景と身近なリアリティ、あるいはユニークな文化の考察に関連づいてきた。大木葉平とミリアン・サンスにとっての東京の街は、グレー、ブラック、そして白と緑のカラーパレットで彩られ、都市、人々、服装から抽出されたのは、最小限に抑制されるシンプル、ユーティリティとテック、あるいはクリーンといった要素である。
ユニセックスなコレクションの随所には“空洞”を発見できるだろう。テーラード、テックマテリアル、デニム、ニット──これまでのSHOOPのコレクションを構成したラインナップは、“東京”のテーマのもと、純粋化のプロセスを経て削ぎ落とされることでSS24のムードを形作っていった。足元にもまた、空洞のあるレザーとデニムの2色展開のミュールがある。
坂本龍一氏の『undercooled』にトリビュートしたポエムグラフィックは、ChatGPTが同曲をインスピレーションにして生成されたものがモチーフに。ひび割れた“Dreamer”は、儚い夢を見るものの意味に、儚い夢にならない様にという二重のステイトメントがのせられた。さらに、2023年1月にふたりのデザイナーのもとに生まれた愛娘は、ベビーウェアのディテールを24SSコレクションにもたらした。
Show Director: Shinji Torigoe (CNG)
Styling: Daichi Hatsuzawa
Hair: Mikio Aizawa
MUA: Kanako Yoshida
Music: DJ DISK
Creative Editor: Tatsuya Yamaguchi
PR: Keitaro Nagasaka (Sakas PR)
Production: CNG
Special Thanks to: NIKE Japan, Foot The Coacher, All Show staff, Gabbi Carter & Mika