mdnt.issue 後藤栞奈

世代を繋ぐキーパーソンに迫る「mdnt.issue」。第2回は、ダンサー・モデル・俳優・振付師など表現者として幅広く活躍する後藤栞奈さんをゲストに迎え、フォトグラファーHiroto Abeが全編撮り下ろした。

Photography: Hiroto Abe
Hair & Makeup: Motoki Saika
Edit: Hiroto Hoshina

──よろしくお願いいたします。今回の撮影はいかがでしたか？

風が心地よい夜で、いつもしている夜のお散歩のようにリラックスして撮影していただきました。ふだんは1人でお散歩することが多いので、撮影クルーの方々とご一緒にお散歩しているみたいで楽しかったです。

──ダンサー・モデル・俳優・振付師など活動は多岐にわたりますが、表現者として活動することになったきっかけを教えてください。また表現者として大切にしていることはありますか？

6歳の頃からバレエとダンスをずっとやってきたんです。呼吸と踊りが一緒になる瞬間が心地よかったり、なんでできないんだろうって考えながら研究して新しい自分の踊りに出会えた時の楽しさや、私の中で踊りでしか消化できない感情みたいなものがあって、それで踊り続けていてまさかお仕事にするとは思っていなかったんです。ある時、MVをきっかけにダンサーとして初めてお仕事をさせていただいたんです。その現場での衝撃とワクワクが忘れられなくて……そこから今の自分にしかできないことをしよう、表現者として活動していこうと決意し、当時決まっていた進路も一旦全部置いて上京してきました。

大切にしていること……柔らかくいることです。どういうことかと言うと、表現したいものに対してはたくさん調べたり準備・練習します。でもそれを完全に再現しようとするんじゃなくて、その現場での空気を目一杯吸い込んで、その瞬間のサプライズやハプニング、それによる変化も素直に受け止めて楽しむようにします。私は映像作品での表現が多いのですが、後で見てもらう人はもちろん現場のカメラマンさん含め一緒に作品を作るスタッフさんが一番最初に見る人になるので、その方たちにまず届ける、楽しんでもらうことを大切にしています。

──静止画でも伝わる豊かな表現力が魅力の後藤さんですが、表現者として影響を受けた人はいますか？

唯一この人っていう人はいなくて、それこそダンサーの方を見たり俳優さんを見たりアニメのキャラクターを見たり……いろいろなものからの影響を素直に受け取るようにしています。でもその中でも特に自分の思考の幅を広げてくれたのは山口小夜子さんです。小夜子さんはモデルとして表舞台に立ち、それ以降はダンサー・役者……肩書きにとらわれない表現者として生きておられた方なので、その存在を知った時に1つだけでなく様々な表現をやってもいいんだと教えてもらいました。

──マカロニえんぴつの「生きるをする」や、Night Tempoの「Wonderland (feat. BONNIE PINK)」などアーティストのMVにも多数出演されていますね。普段はどのような音楽を聴いていますか？おすすめの曲やMVがあれば教えてください。

このジャンル！っていうのは特に決めていなくて、本当にそのときの気分でいろいろなものを聴いています。知人がおすすめしてくれたものは一旦聴いてみて、感覚的にいいなって思ったものは自分のプレイリストにどんどん入れちゃうのでプレイリストもバラバラです（笑）その中でも80年代のアイドル（特に中森明菜さん）やUKのドリームポップ（例えばStrawberry Switchblade）、最近のアーティストさんではa子さんや冥丁さん、Wet Legっていうイギリスのロックバンドもよく聴いていますね。今挙げただけでもバラバラな気がします（笑）あとは好きな映画やアニメのサントラを1人でストレッチしたりインプロする時によく聴きます。

──最近ではYUSUKE KIKUTAやpays des féesといったファッションブランドのモデルとしても注目を集めています。当日はよりパーソナルな部分にフォーカスを当てるため、私物でコーディネートを組んでいただきました。今回のコーディネートのポイントを教えてください。

好きな赤色をコーディネートに取り入れようとだけ決めていて、あとは踊りながら撮影するとお聞きしていたので、ふわっとお洋服と遊べたらいいなーって思いつつ、いつも通り自分の感覚でこれだ！ってなるスタイリングにしました。

──最後に今後の目標、挑戦してみたいことを教えてください。

たくさんあるのですが、大きく分けて2つあります。1つ目は演者として。やっぱりファッションって私から切り離せないくらい大好きなので、アパレルブランドの映像作品に出たいです。着ているお洋服をどうしたら一番良く見せられるか、そうやって考えている時が一番ワクワクします。また、踊りやお芝居、今できる自分の全ての表現を使って映画に出ること。それを大きなスクリーンでお母さんお父さんに見てもらうことが目標です。

もう1つは振付師として。CMやMVといった映像の振付をしたいです。自分1人だと表現できるものってある程度限られていて、それが2人3人と増えていくと可能性って無限大だなって思うので、監督さんやプロデューサーさん、カメラマンさんといった様々な人と一緒に振付師として創作していきたいです。