今回はModern Natureが今年1月に名門〈Bella Union〉からリリースした最新アルバム『Island of Noise』のリード・トラック「Performance」を紹介。
Modern Natureは、これまでにソロや The Beep Seals、Mazes 、Ultimate Paintingのメンバーとして活動し、既に20年近いキャリアを持つギタリスト/コンポーザーのJack Cooperを中心としたロンドン拠点のバンド。5年ぶりのフル・アルバムとしてリリースされた新作『Island of Noise』の制作は、シェイクスピアによるロマンス劇『テンペスト』の一節“Be not afeard, the isle is full of noises”から着想を得て始まったという。つまり彼らはCooperという類まれなる作曲センスを持つリーダーのもと一つの島を創造し、それを音楽で表現しようとしたのだ。
デビュー・アルバムとなった2017年発表の『How to Live』では、内省的なサウンドやギターワークからRadioheadが引き合いに出されることも多かった彼らだが、今作では前述のコンセプトも大いに影響し、サックスやトランペット、コントラバスやヴィオラ等のアコースティックな楽器によるアレンジメントが全編を通じて冴え渡っており、フォーク、サイケ、ジャズ等を優雅に横断した暖かみのある生気に満ちたサウンドが展開されている。
ちなみに今作にはボックス・セットも存在しており、そちらには『Island of Noise』のインストゥルメンタル・ヴァージョン『Island of Silence』のディスクや菌類学者、詩人、作家からの寄稿が収められたブックレットが付属するというこだわりぶりである。(KanouKaoru)