“形のない記憶”をテーマに制作をスタートした2022AWコレクションは、デザイナーの橋本自身の記憶や思い出が着想源となり構成されています。

「思い出や記憶は、同じ体験をしていても、それぞれに解釈・消化され、意味や形は別のものになっています。物事のイメージを人為的に創作出来てしまう現代の中で、人々の記憶の不確かさや儚さを再認識したく、“僕の記憶の中にある服”を表現しました。」

遠い思い出や儚い夢を彷彿とさせるように紡いだ今季のアイテムは、橋本の家族のワードローブをイメージして構成されたラインナップとなっており、大ぶりな袖が印象的なMA-1ジャケットは父親から、シャツとベストが一体型になったGILET SHIRTSは祖父からの着想と、それぞれのアイテムに橋本自身の記憶が織り交ぜられています。また、アントワープ時代に自身が撮り溜めていた写真や、記憶を辿って描いたグラフィックなどもアイテムの随所に散りばめられています。

さまざまなカラーネガを切り貼りした風景作品を制作している写真家Dafna Telmor(ダフナ・タルモール)氏のアートワークからもインスパイアを受け、パーツが分裂しているようなフェアアイル柄のニットや、キルト地とメルトン地が混ざり合ったようなコートなど、Dafna氏の作風をYUKI HASHIMOTOらしくデザインに昇華し今シーズンのコレクションに落とし込んでいます。

Photographer: Kiyotaka Hamamura
Stylist: Shohei Kashima (W)
Hair: Ryosuke Muroya
Production: Kento Teranaka (SUN DESIGN INSTITUTE.)