mdnt.とLANCE PRが共催する対談企画「mdnt.intersection」。記念すべき第1回は、Asato Kitamuraさん(ファッションデザイナー)、Juna Ueharaさん(メイクアップアーティスト)をゲストに迎え、Zoom対談を行った。

Facilitate: Shinichiro Yamaguchi
Edit: Hiroto Hoshina

──第1回はNYで活動する2人のクリエイターAsato Kitamuraさん(以下、Asato)とJuna Ueharaさん(以下、Juna)が14時間の時差の中、ZOOMで登場です。ファシリテーターはLANCE PR Shinが担当します。早速ですが2人のプロフィールを教えてください。

Juna:ヘアメイクとして活動しているJunaです。日本では全くメイクの経験もなくビジネス系の専門を卒業後2017年にNYに来ました。2021年までアシスタントとして活動して2022年から独立しました。

──全くの未経験からいきなり海外でヘアメイクとして活動するってすごい行動力ですね。

Juna:出身が沖縄なんですが東京に行くより海外に行きたいという思いがずっとあって、専門を卒業したタイミングで勢いで来ました。

──沖縄出身の方はパワフルな人が多いですよね。僕の周りのアーティストやクリエイターもそれぞれ個性的だし酒豪です(笑)

Asato:僕は2018年に東京モード学園を卒業して奨学金を頂いてNYに渡米しました。1年間英語を勉強して2020年にパーソンズに入学、2022年に首席で卒業しました。その後は自分のブランドを立ち上げながらフリーランスのデザイナーとしてアーティストビザを取得し、3.1 Phillip Limなどの海外ブランドのデザイナーとして活動しています。

──2人とも日本で経験を積むより先に海外に挑戦していますが、何を思ってその行動をとりましたか?

Juna:私はまず日本にあまり興味がなかったというのがあります。海外は人種や文化が混ざっていて正解が何通りもあると思っていて、その環境で自分がどこまで通用するのか試してみたいなと思いました。

──沖縄は基地もあってアメリカの文化が色濃く残っているからこそ、東京で生活する僕たちとは違った印象になるのかな?

Juna:当たり前のようにアメリカの文化が近くにあって、けど基地と私たちの生活圏は明確な壁があるんです。近くて遠いっていうような。だからこそ自分の目で確かめてみたかった気持ちがあります。それに沖縄で仲良くなった海外の友達はアメリカ出身も多く、小さい頃から話を聞いていたので楽しそうだなって思っていました。

──日本で仲良くなってアメリカで会うって最高なシチュエーションですね。Asatoさんはどう思っていましたか?

Asato:世界中の人がファッションにどんな意味を持っているのかって知りたかった。それと運良く奨学金を受け取れたことが大きいです。

──Asatoさんがファッションに目覚めたきっかけは?

Asato:母親や祖母の影響で小さい頃からものづくりが好きで、親のメイクにも興味があって。それで高校がマテリアル学科っていう陶芸とか変わったカリキュラムのある場所で、作ることをより好きになった。元々ヘアメイクやスタイリストにも興味があったから芸術系の道に進みたくて、進学する時にモード学園に決めたんです。小さい頃から自分のクリエイティブを保存したいって思っていて、洋服なら形として残るからファッションデザイナーの道を選びました。

──2人とも幼少期から培ってきた感性が根底にある感じですね。海外で活動するって決めてから実際に行動に移してみて、イメージと現実のズレってポジティブとネガティブ両方でありましたか?

Juna:着いて1番最初に思ったのはNYの街って汚な!って思いました。タイムズスクエアとか(笑)ポジティブな面だと行動力があれば何でも叶う国だなって感じています。生きているだけでモチベーションを上げてもらえるからそこがいいなって。逆にびっくりしたのは人種差別がしっかり根強いことですね。仕事でアジア人だから黒人のモデルは任せられないって言われたことがあって。ほかにもアジア人だから英語が話せないって決めつけられて撮影中に外されたりとかもありました。

──長年NYにいても実際そういうことが起きるって改めてすごい環境ですね。差別に直面した時どうやって仕事をやり通しますか?

Juna:1人がNOって言っても周りが上手くなだめてくれたりフォローしてくれることがあるので何とかなっています。

──NYって最先端な印象があるけどそういうのがいまだにあるのか……Asatoさんはどう感じていましたか?

Asato:期待外れだなって思ったのは東京のほうがすごいなって感じたことかな。交通網が発達しているしシステムも新しい。けどNYはいまだに切符。しかもみんな改札飛び越えて使っているから意味ないし。当たり前にあったものが実は世界から称賛されるテクノロジーだったんだなってアメリカに来て感じた。ポジティブな面はいろんな人種がいるからこそ、1つの国でたくさんの国のことを知れることが面白いかな。

──日本人が海外で挑戦するためには何が必要だと思いますか?

Juna:自分を良く見せるためのパフォーマンス力は絶対必要ですね。こっちの人たちは自分のことを強く見せるのに長けてて、私は少しシャイな部分もあるからもっと自身を表現できていたらアジアヘイトも受けなかったかもしれない。それと来る前から多様な文化を理解できていたら強いマインドで進められたなって毎日思っています。

Asato:英語は大前提ですよね。4年くらいいるけど毎日思っています。それと僕の仕事は1人で進めることが多いからこそ、自分自身のスキルをどう高めるかかな。スキルが認められれば若くても仕事は入るし。それとプレゼン能力がもっとあればより仕事に繋げられていたなって思います。

──語学とその語学をどう使うかっていうパフォーマンス力が必要なんですね。それに文化を知ってる知らないで受け止め方も変わるから、海外で挑戦したいならまずは語学と一緒にその土地の歴史とかを知るといいかもですね。今回の「intersection」は交差点って意味なんですが、2人はクリエイティブの場で一緒になったことはありますか?

Juna:私はAsatoさんのコレクションを毎シーズン担当しています。

Asato:パーソンズの卒業制作の時にコロンビア人のカメラマンから紹介してもらって。その時のヘアメイクが教授や周りの学生からも高く評価してもらえて、それから各シーズンをお願いするようになりました。

──いいチームですね。2人は今後どのような展望を考えていますか?

Juna:まずは自分のスタイルを固めてセレブリティや大きなブランドを担当するようになりたいです。

Asato:僕は日本で活動するほうがいろいろやりやすいだろうなって感じてはいるけど、せっかくアメリカにいるなら現地の人から高く評価されるようなものを作りたいって思っています。

──2人とも前に進もうって気持ちが強いですよね。2人の活動をこれからも注目していきますね。

Asato Kitamura

1996年3月に日本の石川県に生まれ、幼少期から母と祖母、叔母の影響でアートや芸術に囲まれて育つ。2014年に上京し東京モード学園にてファッションを本格的に学ぶ。2018年ロンドンに移住しMICHIKO KOSHINOにてデザインを行った後にパリにて修行。2020年に渡米し3.1 Phillip LimやMELITTA BAUMEISTERでデザイナーとして経験を積みながら、2022年にParsons MFA Fashion Design and Societyを首席で卒業し、自身のブランドであるASATOをNYで立ち上げる。

Website: https://www.asatokitamura.com/
Instagram: https://www.instagram.com/asato_kitamura/

Juna Uehara

日本とニューヨークを拠点に活躍する沖縄出身のフリーランスメイクアップアーティスト。ランウェイショー、大手カメラメーカーNikon USAのキャンペーンなどエキサイティングなプロジェクトにおいて活躍。さまざまな媒体での活躍を通じ、沖縄のアーティストとして常に新しいことに挑戦し、可能性を広げていくために精進中。

Website: https://www.junauehara.com/
Instagram: https://www.instagram.com/okigaljuju/